人生の積立貯金、退職金
定年や転職などで会社を辞める時に退職金があるのとないのとでは退職後の人生に大きな違いがでます。
ローンの残額返済や車や趣味への支出、海外旅行、老後の資金としての貯蓄や資産運用…など退職後の人生設計に退職金を組み込んでいる人もいるのではないでしょうか?
退職金の法的根拠とは
労働基準法では労働者が働いた分の賃金を支払わなければならない旨が定められています。では、退職金に関してはどうなのでしょうか?
就職先を公務員と民間に分けてみた場合には公務員には「国家公務員退職手当法」という法律が決められています。この法律の中では退職金に関しての規定があり、支払いを受ける対象者や支払われる退職金の金額、退職金が減額される場合の理由と金額まで決められています。
対して、民間企業の場合、労働に関する規定を定めた労働基準法には、賃金の支払いに関する記載はあっても、退職金の支払いに相当する記載はありません。(ただし、退職金の定めがある場合の明示についての記載はあります。)
つまり、結論から言うと、企業側に退職金を支払う法的な義務はなく、仮に退職金制度がなくても違法にはなりません。
しかしながら、退職金制度を新たに設ける場合には、少なくとも、以下の項目を就業規則に記載する必要があります。
・退職金制度が適用される労働者の範囲
・退職金の決定について
・退職金の計算及び支払いの方法
・退職金の支払いの時期
退職金の減額は違法か?
もし、従業員の同意を得ないまま、会社の業績悪化を理由に減額を行うなどした場合には場合によっては違法になる可能性があります。
ただ、業績や利益の悪化など会社の状況や理由により、退職金の減額などの必要性が妥当であると言える場合もあります。過去の裁判の判例などを見ても、正当と判断される場合もあれば、違法と判断される場合もあるのなど、違法性か否かの判断はケースによるようです。
しかし、退職金の条件変更に際しては労使間でよく話し合い必要に応じて社内規則を変更することは必要であると言えるでしょう。
企業活動をしていれば、業績の悪化などで退職金の支払いに支障が生じることもあります。そして、それはしっかりと業績などの管理をしていれば、早くに予想できることでもあります。
退職金に関しては、労使間のトラブルを避けるためにも、退職金の支払いに不具合が生じそうだと予測できた時点で労働者側に伝えることが必要です。そして、場合によっては労働者側と退職金の減額や分割での支払いなど、現実的な解決方法を模索して、会社の規定も改定して行くことが大切です。
(画像は写真ACより)