セクハラやパワハラは個人の問題ではない
セクハラやパワハラは今や社会問題の一つとして根強いものとなっておりますが、その判断基準や責任の所在についてまで詳しく知っている人は少ないでしょう。
それでも、このパワハラやセクハラによってPTSDなどになってしまった人たちが、加害者や企業を相手にして裁判を起こした事例もあり、その判決がニュースでも話題になったので、どのような扱いをされるのか何となくでも理解した人が増えたと思われます。
つまり、パワハラやセクハラは実行した人ももちろん問題はありますが、責任は実行者以外にも会社や企業にまであると考えられ、責任を追及されるようになっているのです。
使用者責任や職場環境配慮義務
これらの企業や会社側の責任は専門用語を使うと、そのような悪行を行った社員の雇い主である責任の「使用者責任」があると判断されます。
そして、職場の環境を従業員が良好に保ち使うようにする義務の「職場環境配慮義務」を怠ったと判断されるので、法律上も企業や会社側の怠慢から責任が追及されるということです。
パワハラを実行していた人も刑事および民事上の責任が疑われることもありますし、セクハラの事実が確認されれば加害者が被害者に対して不法行為責任を負うことになるでしょう。
過去の事例を見てもセクハラやパワハラが原因で精神疾患を発症してしまい、会社を辞めるようになってしまうなどの実害が出ている場合は、労災認定されることになり、損害賠償責任を加害者と連帯して背負うことがあるのを見て取れるのです。
個人の罪も重いが会社もダメージが大きい
セクハラやパワハラを実行した人は名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性があるので、犯罪者となってしまう可能性があります。
加害者は懲戒事由に該当することになるので懲戒処分を受けることになるでしょうし、そのような罰則を受ける立場になった人間は社会的に認められなくなってしまうでしょう。そのため、結婚をしていた人なら離婚することもあるでしょうし、首になってしまったら再就職は難しくなります。
もともと、セクハラやパワハラも企業側には罰則などは定められておりませんでしたが、2007年の改定によってその状態が大きく変わるようになり、対策を一切せずに是正指導をしない場合は企業名が公表されるようになったのです。
会社側からすればこのようなトラブルが発生すると、「パワハラやセクハラがあっても放置する会社」とか「古い体質が全く抜けない会社」という悪いイメージが先行するようになるので、企業イメージダウンにつながって、あらゆるところでマイナスに働くようになってしまいます。
企業イメージというのは数値で表すことができるものではありませんが、一度悪化してしまうとなかなかプラスに転じることはできなくなってしまいますので、一生涯の汚点を背負い続けるようになるのです。
(写真は写真ACより)