出産と休業
従業員が出産する場合には母体や子供を保護して、無事出産を迎えるためにも出産の前後には休みを取らせることが労働基準法により定められています。
特に産後はたとえ本人が希望したとしても法律で決められた期間には労働をさせることは禁止されています。
産前・産後の休業の範囲
労働基準法で決められている出産前後の休業期間は産前休業が出産の42日=6週間前から、産後休業は出産後の56日=8週間が休業日になります。
また、妊娠の内容が双子以上など多胎妊娠の場合は出産の98日=14週前から産前休業を取ることが可能です。前述のように産後は母体の保護の観点から労働者を働かせることができませんが、産前休業の場合は女性が申告した場合のみ取得をすることができます。
ですから女性の体調によっては産前休暇をできるだけ取らずに働くことも可能ですが、母体や子供の保護のためにも医師にもアドバイスをもらった上でなるべく早く産前休業に入ることが必要と言えるでしょう。
出産日と休業の関係
出産日は帝王切開による予定日の決まった場合以外の自然分娩では出産日が変わります。そのため、実際の出産日を元に計算すると産前休暇を設定することができません。
そこで変動することのない出産予定日を出産日として産前休暇を決定します。そのため、出産日は産前休業に含まれます。そして、産後休暇は産んでからの休暇になりますので、実際の出産の翌日が1日目となります。
また、不幸にして死産であった場合でも産後休業は規定通り必要になります。
他の母体保護の規定
他にも労働基準法では母性を保護する目的で様々なことが規定されています。
・妊産婦の有害物質などを扱う業務への就業の禁止
・重いものを持つなど重労働の禁止
・希望による軽易な作業への配置転換
・本人の希望応じた1日および1週間の労働時間の制限
・本人の希望応じた休日労働や深夜・時間外労働の制限
・希望により1日2回30分以上の育児時間を与えること
(生後1年に満たない子供を育てる女性を働かせる場合)
周囲のサポートが大切
妊娠中は体調の急な変化など思いもかけないことが起こる可能性があります。
会社の側では妊娠・出産が分かった時点で、法律の規定通りの産前休暇、産後休暇を取ることができるように準備をする必要があります。また、妊娠をした従業員の周囲でも仕事のサポートや早めの引き継ぎを考えるなど気遣いをしていくことが大切です。
(画像は写真ACより)