退職勧奨や解雇は必要か
職場での仕事の能力が不足している社員に対しては、効率アップのために退職勧奨や能力不足による解雇を行いたくなります。会社を辞めてくれないか、という退職勧奨をすること自体には違法性はありません。
しかし、執拗な退職勧奨を行うことや解雇を行ってしまうことは労働基準法に抵触する可能性があります。また、会社側は能力不足であることを具体的、客観的に証明しなくてはならないでしょう。
間違ってもしてはいけないのが、従業員を自己退職に追い込むための配置転換などです。新聞やテレビでよく話題になる「追い出し部屋」と言われるものもこれに該当するでしょう。
試用期間や研修での指導
面接や試験を行い入社させた従業員の適性を見るためにあるのが試用期間です。本来はこうした期間内に適正を見極めることが必要です。
しかし、見極めることができない場合にはさ正式採用後のOJTを含む研修での実地指導で仕事の能力を高めていくことが求められます。そして、研修を行っても思うような能力が見られない場合には、本人の同意を得た上で、他の部署への配置転換や関連会社への出向などを行い仕事の様子を見ることが必要です。
配置転換または合意退職へ
仕事のスキルアップのための研修や配置転換などを行っても仕事の能率が改善されない場合にはもしかすると仕事自体が合わないのかもしれません。その場合にはよく話し合った上で合意して退職という道の選択を考えることが必要です。
そのために会社側に求められることは、研修から配置転換、退職に向けての話し合いの中で従業員としっかりと話し合い改善のための行動をすすめると共にどのように対応しても改善に至らなかったことを客観的に確認・分析することです。
その上で従業員と退職して別の道を選ぶことをすすめ、退職時期などの希望をできる限り聞いてあげることが必要です。
労使どちらにもよい決着を
企業間の競争が激しい中、能力のそぐわない社員への対応をすることは企業にとりリスクになると言えます。
しかし、人手不足がこれからすすんでいく中で、安易に退職をすすめることや、解雇を行うよりもじっくりと人を育てていくことがまずは必要だと思われます。また、安易に人材を切り捨てることは他の従業員の士気を下げることにもなりかねません。
可能な限り仕事の改善や能力アップへの手立てをつくしてみることが企業側には求められます。その上で、どうしても改善ができないと判断できる場合には、客観的な事実を集めて検証した上で、企業と従業員が話し合う必要があります。
落とし所として退職や解雇を目指す場合には双方が納得する方法での「合意退職」にもっていくことが大切です。退職後にトラブルになることのないように企業と従業員どちらも納得できる解決に結び付けたいものですね
(画像は写真ACより)