みなし労働とは?
労働時間とは職場や上司の指揮命令下にあり、仕事のために従事している時間のことを指しますが、外回りの営業業務など事業所外で仕事をする人は、一度も事業所に立ち寄ることなく労働することもあります。
その場合実際の労働時間の算出をすることが難しいため、「みなし労働時間制」という制度を使って、労働時間を算出していきます。
例えばみなし労働で1日8時間働いていることになっている場合、1日に3時間しか働いていなかったとしても、また10時間働いた場合でも、8時間働いたとみなされ、8時間分の賃金を受け取ることができます。
みなし労働とされるには
使用者により具体的な指揮があり、企業が労働時間を把握している場合は適用されません。
事業所外での仕事であっても、グループ行動や携帯で常時指令を受けられる状態、当日の業務指示を受け、社外で仕事をし、また報告に戻る場合も適用されません。
事業所外で働く労働者に具体的な指揮命令を出せず、労働時間の把握が難しい場合でなければなりません。
みなし労働の種類
所定労働時間中に労働したとみさなれるもの、所定労働時間を超えて労働したとみされるものなどがあります。
事前にどのくらい勤務時間が必要かを考え、設定されています。一部事業所外での仕事があり指揮命令下になる場合は、その時間だけみなし労働となります。指揮命令下にある時間はみなし労働適用外です。
2つ目に、専門業務型裁量労働時間制というものがあります。これは、研究や開発など、使用者が労働者に労働時間を指示するのは不自然な場合に適用される制度です。
この専門業務型裁量労働時間制が適用になる業務は、厚生省令と厚生労働大臣の告示によって、あらかじめ指定されています。また、専門業務型裁量労働時間制を導入する際には、導入前に労使協定を行い、協定届を労働基準監督署長に出します。さらに、労働者に知らせておくことも必須となります。
3つ目に、企画業務型裁量労働時間制というものもあります。これは事業についての企画立案や調査などを行う労働者に対するもので、使用者ではなく、労働者本人が業務時間や時間配分などを決める場合に適用されます。
みなし労働は以上の3つに分けて考えられますが、いずれにしても対象者は厳選されます。
みなし労働の問題と対応
ブラック企業などは少ない賃金でサービス営業をさせるなど、みなし労働を強いている場合があります。
例えば、外回りで8時間勤務のみなし労働をしているはずなのに、実際は上司の指揮命令下にあるケースや、労働者が8時間以上勤務していることを会社が黙認し、サービス残業が当たり前になっているというケースもあるようです。いずれも違法行為となります。
みなし労働で実労働時間より安い給与を貰っている場合は、まずは自分がみなし労働適用者であるかどうかを確認し、弁護士に相談するなどの対応をとりましょう。
(画像は写真ACより)